冷却塔の修理・安定稼働のためのポイントとは?
- 一也 大竹
- 4月9日
- 読了時間: 6分
冷却塔(クーリングタワー)とは?
冷却塔(クーリングタワー)は、工場やビルなどで発生する熱を冷却水によって吸収し、外部に放出するための設備です。冷却塔は、空調システムや製造プロセスにおいて重要な役割を担っており、その安定稼働は、生産効率や品質維持に直結します。
冷却塔は、大きく分けて空冷式と水冷式に分類されます。
空冷式冷却塔: 冷却水と空気の直接接触により冷却を行う方式で、比較的設置面積が小さく、水資源の節約にも貢献します。
水冷式冷却塔: 冷却水を別の冷却媒体(水など)で間接的に冷却する方式で、冷却効率が高く、騒音が少ないという特徴があります。
冷却塔の構造は、冷却水と空気を接触させるための充填材、冷却水を散布するための散水装置、空気を送風するためのファン、冷却水を貯めるための水槽などから構成されています。
冷却塔は、その構造上、定期的なメンテナンスや修理が必要となります。冷却塔の適切な維持管理は、設備の長寿命化、省エネルギー化、そして安定稼働に不可欠です。
冷却塔の修理が必要な症状とは?
冷却塔の修理が必要な代表的な症状としては、以下のようなものがあります。
水漏れ: 冷却塔本体や配管からの水漏れは、冷却効率の低下や設備の腐食、水損によるコスト増加に繋がります。水漏れは、パッキンの劣化や配管の腐食、亀裂などが原因で発生します。
騒音・振動: 冷却塔のファンやモーターの異常により、騒音や振動が発生することがあります。騒音や振動は、周辺環境への影響や作業環境の悪化に繋がります。騒音や振動は、ファンのバランス不良やベアリングの摩耗、モーターの故障などが原因で発生します。
冷却能力の低下: 冷却塔の冷却能力が低下すると、冷却水が十分に冷却されず、生産プロセスや空調システムに影響を及ぼす可能性があります。冷却能力の低下は、充填材の目詰まりや散水装置の故障、ファンの風量不足などが原因で発生します。
腐食: 冷却塔は、水や薬品に常に触れているため、腐食が発生しやすい環境にあります。腐食が進行すると、冷却塔の強度が低下し、設備の寿命を縮めることになります。腐食は、水質や薬品の濃度、材質などが原因で発生します。
これらの症状以外にも、冷却塔には様々な不具合が生じることがあります。冷却塔の異常を感じたら、早めに専門業者に点検を依頼することをおすすめします。
冷却塔の修理方法と注意点
冷却塔の修理方法は、故障の症状や原因によって異なります。冷却塔の修理は、専門的な知識や技術が必要となるため、専門業者に依頼することをおすすめします。
冷却塔の修理には、以下のような方法があります。
部品交換: 故障した部品を新しい部品に交換する方法です。パッキン、ベアリング、ファン、モーターなどの部品が交換の対象となります。
補修: 腐食や亀裂などの損傷部分を補修する方法です。溶接、パテ埋め、ライニングなどの方法があります。
洗浄: 冷却塔内部の汚れを洗浄する方法です。充填材、散水装置、水槽などが洗浄の対象となります。
調整: 冷却塔の運転状態を調整する方法です。ファンの回転数、散水量、薬品の濃度などが調整の対象となります。
また、冷却塔(クーリングタワー)の安定稼働のためには、修理をして、故障の箇所や不具合を直すだけではなく、根本的な原因の対策も重要です。
冷却塔の安定稼働の課題
また、冷却塔(クーリングタワー)の安定稼働のためには、修理をして、故障の箇所や不具合を直すだけではなく、根本的な原因の対策も重要です。ここでは把握すべき冷却塔でよく起きる課題と、安定稼働のための対策方法を紹介します。
スケール対策
冷却水に含まれるミネラル成分が析出し、冷却塔内部にスケールとして付着することがあります。スケールは、熱交換効率の低下や水流の阻害、腐食の原因となります。スケール対策としては、水質管理や薬剤処理、定期的な洗浄などが有効です。
スライム対策
冷却塔内部は、水温や湿度が高く、細菌や藻類などの微生物が繁殖しやすい環境です。微生物の繁殖により、スライムと呼ばれる粘着性の物質が発生することがあります。スライムは、熱交換効率の低下や水流の阻害、悪臭の原因となります。スライム対策としては、殺菌剤や防藻剤の添加、定期的な洗浄などが有効です。
腐食対策
冷却塔は、水や薬品に常に触れているため、腐食が発生しやすい環境にあります。腐食は、冷却塔の強度低下や寿命短縮の原因となります。腐食対策としては、防食塗装やライニング、水質管理などが有効です。
省エネ化
冷却塔は、大量の電力を消費する設備です。省エネ化は、ランニングコストの削減や環境負荷の低減に貢献します。省エネ化対策としては、高効率ファンやモーターの導入、インバータ制御、運転方法の見直しなどが有効です。
結露対策
冷却塔に付随する配管には冷たい冷却水や暖かくなった冷却水が流れています。このため結露が発生することがあります。結露は、配管や周辺設備のカビや錆びの発生につながり、劣化を早めます。結露対策としては、冷却塔の設置場所や換気、断熱材の利用などが有効す。
施工事例紹介
冷却塔(クーリングタワー)更新工事及び移設・保温工事

修理・メンテナンスの状況
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動力装置+クーリングタワー設置工事

修理・メンテナンスの状況
こちらは、新規の電気動力装置の設置に伴い、その冷却用として丸小型カウンタータイプのクーリングタワーを設置した事例となります。動力装置本体は55kWhのモーターであり、正確なトルクや精度の維持と、モーターの熱暴走の防止のために、適切なクーリングタワーを設置する必要がありました。そのため、当動力装置の設置工事を行った当社から、併せて新規クーリングタワー設置のご提案を行わせていただきました。
修理・メンテナンスの内容
前述の通り、当社にてクーリングタワーの選定を行い、設置工事まで行わせていただきました。また、お客様のランニングコストを考慮し...
宮城工場修理メンテナンスCOMができること
宮城工場修理メンテナンスCOMを運営する株式会社丸繁では、冷却塔の修理、メンテナンスに関してワンストップ対応いたします。協力会社様と連携し、提案から施工、修理点検などのアフターメンテナンスまで一貫対応が可能です。
さらに、当社ではご依頼のままにお応えするだけでなく、必要に応じて課題解決やコストダウンとなるような代替提案を積極的にさせていただきます。冷却塔の設置だけでなく、土木工事や電気工事など、冷却塔周辺の設備工事にも対応することができます。冷却塔の設置場所の変更や配管の保温工事など、お客様のニーズに合わせて柔軟に対応いたします。冷却塔(クーリングタワー)の更新、修理、点検などにお困りのお客様はぜひ一度ご相談ください。
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