工場や大規模施設において、効率的な換気は作業環境の維持に欠かせません。その中でも有圧換気扇は、優れた換気性能で工場内の空気を迅速に入れ替える重要な役割を果たしています。本記事では、有圧換気扇の基本知識からメンテナンスや修理・更新のポイントまで、詳しく解説します。
有圧換気扇とは？業務用換気扇との違いとは？
有圧換気扇は、強力なモーターと高性能なプロペラファンを備えた換気装置です。外部の環境に左右されずに、強い排気力を発揮します。これにより、工場内の粉塵や熱気、有害ガスを効率よく排出することが可能です。
有圧換気扇と業務用換気扇は「静圧」の有無によって区別することができます。静圧とは空気が静止している状態で持つ圧力のことを指します。換気や空調の分野では、空気がダクトや配管内を流れる際に、その流れを妨げる抵抗を克服するために必要な圧力として用いられます。高静圧であるほど、大量の空気を送り出し、換気することができます。
また、有圧換気扇には、空気の流れを整えるベルマウスという部品がついています。この部品のおかげで、外からの空気抵抗の影響を受けずに一定の圧力（静圧）をかけた空気の排出が保たれます。
一方で、業務用換気扇など、プロペラが回るだけの換気扇にはベルマウスがついておらず、外環境によって換気がうまくできない場合があります。よって、工場や飲食店など、常に換気が求められる環境では、通常の換気扇ではなく、有圧換気扇が設置されています。
工場において“換気”が重要な理由とは
①室温管理
工場内では、機械の稼働や人の活動により熱が発生し、室温が上昇しやすくなります。適切な換気を行うことで、室内にこもった熱気を排出し、快適な作業環境を維持できます。特に夏場は、遮熱対策、熱中症対策としても効果的です。
④湿度とカビ対策
湿気やホコリがたまるとカビの原因になり、製品や機械への悪影響が懸念されます。また、特に化学物質を取り扱うような工場では、従業員への健康リスクも発生します。適切な換気を行うことで湿気を排出したり、空気の流れを作ってホコリを排出しやすくします。
④有害物質の排出
工場内では、製造過程で発生する有害物質やガスが蓄積することがあります。場合によっては、有圧換気扇による工場全体の換気だけでなく、局所排気装置を用いた換気も検討する必要があります。適切な換気を行うことで、これらの有害物質を迅速に排出し、従業員の健康被害を防止します。
④工場の作業環境の改善による生産効率の向上、設備の保護。
高湿度や粉塵は生産設備の故障や劣化を促進するため、換気による湿度や粉塵の管理が重要です。適切な換気を行うことで、設備の寿命を延ばし、安定した生産活動を支援します。
これらの理由から、工場における適切な換気は、作業環境の安全性、従業員の健康、設備の保護、生産効率の向上に直結します。定期的な換気設備の点検とメンテナンスを行い、最適な換気環境を維持することが重要です。
有圧換気扇のメンテナンスについて
有圧換気扇の性能を維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。特に工場のような厳しい環境では、ファンやモーターの汚れや劣化が進行しやすいため、以下のメンテナンスを推奨します。これらを実施することで、十分に機能しているのかを確認し、有圧換気扇の寿命の長期化にもつながります。
ファンの清掃：定期的にホコリや油汚れを除去
モーターの点検：異常音や過熱の兆候を確認
フィルターの交換：空気流量を確保するために定期的に交換
空気環境診断：適切な空気流れを診断し、風量や換気が十分に行われているのか確認。
しかし、有圧換気扇は高所に取り付けられており、日常点検は難しく、高所作業には危険や専門知識が必要です。専門の業者に定期的な点検や清掃を依頼することで、安全かつ、最適な作業環境を保つことができます。
有圧換気扇の点検、修理、交換について
有圧換気扇の寿命は、一般的には10～15年と言われています。しかし、使用環境やメンテナンス状況によって異なります。長期間使用することで劣化が進行するため、下記のような兆候が見られた場合、修理や交換を検討することをおすすめします。
異常な振動や音：ファンのバランス崩れやモーターの故障の可能性があります。
換気効率の低下：空気の流れが悪くなった場合
フィルターの汚れ、交換：汚れたフィルターの使用を続けていると、空気の流れが悪くなり、換気 の効率が悪くなります。
経年劣化：10年以上使用している場合
施工事例
大型有圧換気扇 設置工事
修理・メンテナンスの状況
工場内の環境改善と暑熱対策のために大型有圧換気扇の設置と制御盤更新を行った事例を紹介致します。この施工に至った背景として、従来生産している原料が飛散してしまい作業に影響が出ている状況だったことが挙げられます。特に原料の混合を行う装置機器の付近(屋根付近)は環境の悪さが顕著であったため、換気扇を設置し工場内の空気を屋外に排出することを検討されるに至りました。また換気扇の設置を行うことで、空気の排出を狙うと同時に暑熱対策を行いました。
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いかがでしたでしょうか。
今回は有圧換気扇の重要性、修理や更新に関して解説いたしました。
工場において、作業環境の維持・改善のためにも換気は重要です。適切な有圧換気扇を使うこと。有圧換気扇を常に最適な状態に保つことで多くのメリットが得られます。
一方で、メンテナンスや修理には高所作業や専門知識が必要となりますので、専門業者へご相談ください。
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