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チラーの修理・点検・メンテナンス完全ガイド|冷えない原因、法定点検の義務、更新の判断基準を解説

1 日前
読了時間: 10分

「チラーの設定温度まで下がらない」

「夏場になると高圧異常で止まってしまう」

——工場の温度管理を担うチラーの不調は、加工精度の低下や生産ラインの停止に直結します。しかもチラーは、フロン排出抑制法によって点検が法的に義務付けられた機器でもあります。

本記事では、チラーが冷えなくなる原因の切り分け方から、法定点検の内容と頻度、日常点検のチェックリスト、そして「修理か更新か」の判断基準までを、宮城県で工場設備の保全を手がける専門会社の視点で解説します。



チラーとは?工場における役割と基本構成

チラー(chiller)とは、冷凍サイクルを利用して水やブライン(不凍液)などの液体を冷却し、その冷たい液体を循環させることで対象物の温度を一定に保つ装置です。日本語では「冷凍機」「冷却水循環装置」「チリングユニット」などとも呼ばれます。


チラーの4つの基本構成要素

チラーの冷凍サイクルは、次の4要素で成り立っています。


  • 圧縮機(コンプレッサー):冷媒ガスを圧縮し、高温・高圧の状態にする。チラーの心臓部

  • 凝縮器(コンデンサ):高温高圧の冷媒から熱を放出し、液化させる

  • 膨張弁:液冷媒を減圧し、蒸発しやすい状態にする

  • 蒸発器(エバポレータ):冷媒が蒸発する際の気化熱で、循環水から熱を奪う


このほか、冷却した水を送り出す循環ポンプ、水を溜めるタンク、温度を制御する電装・制御盤が組み合わさって1台の装置を構成しています。トラブルの原因は冷凍サイクル側にあるとは限らず、ポンプや配管、電装系にあることも多いという点が、チラー保全の難しさです。


工場でのチラーの主な用途

宮城県内の製造現場でも、チラーは幅広い工程で使われています。

  • 射出成形機・ダイカストマシンの金型温調

  • レーザー加工機、マシニングセンタの主軸・油冷装置

  • 油圧ユニットの作動油冷却

  • めっき・表面処理槽の液温管理

  • 食品加工工程の冷却水供給

  • 恒温室・試験設備の温度管理

いずれも「温度が安定していること」が品質の前提となる工程です。チラーの能力が2〜3℃分落ちるだけで、成形不良や寸法精度のばらつきとして表面化するケースは少なくありません。



空冷式と水冷式の違い

項目

空冷式チラー

水冷式チラー

放熱方法

ファンで外気に放熱

冷却水(冷却塔)に放熱

設置場所

屋外・屋上が中心

屋内設置が可能

付帯設備

不要

冷却塔・冷却水ポンプ・水処理が必要

外気温の影響

受けやすい(夏に能力低下)

受けにくい

主なメンテ箇所

凝縮器フィンの清掃

凝縮器チューブの洗浄・水質管理

夏場に「冷えない」トラブルが集中するのは、圧倒的に空冷式です。外気温が上がると凝縮圧力が上昇し、フィンが汚れていると高圧カットで停止に至ります。一方の水冷式は外気の影響こそ受けにくいものの、冷却水系統のスケールやスライムが性能を静かに蝕んでいきます。



冷却塔(クーリングタワー)との違い

混同されやすいのが冷却塔との関係です。冷却塔は水の蒸発潜熱を利用して熱を大気に逃がす装置で、外気温(湿球温度)より低い水温はつくれません。対してチラーは冷凍サイクルを使うため、外気温を下回る低温水を安定してつくれます。

水冷式チラーは、この両者を組み合わせた構成です。したがって「チラーが冷えない」と思っていたら、原因は冷却塔側にあった、というケースも珍しくありません。冷却塔については別コラムで詳しく解説しています。



「チラーが冷えない」主な原因と切り分けの考え方

現場で最も多い相談が、この能力低下です。原因は大きく4系統に分かれます。


1. 放熱側(凝縮器)の問題

最も多く、かつ最も予防しやすい原因です。

  • 空冷式:凝縮器フィンに粉じん・油ミスト・綿ぼこりが目詰まりし、放熱できていない

  • 空冷式:室外機の吹き出し空気を再び吸い込む「ショートサーキット」が起きている

  • 空冷式:凝縮器ファンやファンモーターの故障、回転数低下

  • 水冷式:凝縮器チューブ内にスケール(硬度成分の析出)やスライム(微生物膜)が付着している

  • 水冷式:冷却水量の不足、冷却塔の能力低下

放熱できないと凝縮圧力が上がり、高圧異常(高圧カット)で停止します。夏場に頻発するのはこのパターンです。


2. 冷媒側の問題

  • 冷媒漏れによる冷媒不足

  • 膨張弁の作動不良、ストレーナ(ドライヤ)の詰まり

  • 冷媒回路への水分・異物の混入

冷媒が不足すると冷却能力が落ちるだけでなく、低圧異常(低圧カット)や蒸発器の凍結を招きます。重要なのは、冷媒は消耗品ではないという点です。減っているなら必ずどこかで漏れています。後述する法令上も、漏えい箇所を修理せずに冷媒を充填することは禁止されています。


3. 循環水側の問題

  • 循環ポンプの能力低下(インペラ摩耗、メカニカルシール劣化)

  • ストレーナ(Yストレーナ)の詰まり

  • 配管内のスケール堆積、バルブの閉め忘れ

  • タンク水位の低下、配管内のエア噛み

  • 蒸発器(プレート式熱交換器)の目詰まり

「圧縮機は正常に動いているのに冷えない」場合、水側を疑うと早く原因にたどり着きます。チラー出口と入口の水温差(ΔT)を測ると、水量不足なのか熱交換不良なのかの当たりがつきます。


4. 電気・制御系の問題

  • 温度センサ(サーミスタ)のずれ、断線

  • 電磁接触器の接点摩耗、基板故障

  • インバータの異常、圧縮機の絶縁低下

  • 設定値の誤変更



現場での一次切り分けフロー

業者を呼ぶ前に、次の順序で確認しておくと復旧が早くなります。


  1. エラーコードと発生履歴を控える(メーカー・型式・エラー番号は必ずメモ)

  2. 高圧側か低圧側かを運転圧力から確認する

  3. 循環水の流量・水温(入口/出口)・タンク水位を確認する

  4. 凝縮器フィンの汚れ、ファンの回転を目視する

  5. 異音・振動・油にじみ・霜付きの有無を確認する

  6. 発生条件(夏場だけ/連続運転で数時間後/特定の設備稼働時)を整理する


この6項目が揃っていると、業者側の原因特定が大幅に早まり、結果として復旧時間と費用の圧縮につながります。



チラーの点検は法律で義務付けられています(フロン排出抑制法)

意外と見落とされがちですが、フロン類を冷媒とするチラーは「第一種特定製品」に該当し、所有・管理する事業者に点検義務が課されています。根拠となるのが「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)」です。

対象となるのは、フロン類が冷媒として充填された業務用の冷凍空調機器です。環境省や各メーカーの資料では、パッケージエアコン、ターボ冷凍機、スクリュー冷凍機などと並んでチラーが明記されています。


義務を負う「管理者」とは

管理者とは、原則としてその機器を所有する者です。点検・修理の発注判断や費用負担ができる立場にある者が該当し、法人所有の場合は代表者個人ではなく法人が管理者となります。リース機器の場合は契約内容によって管理者が変わるため、契約書の確認が必要です。

簡易点検(すべてのチラーが対象/3ヶ月に1回以上)


有資格者でなくても、管理者自身が実施できる目視中心の点検です。

  • 熱交換器(凝縮器・蒸発器)の異常な汚れ、霜付き

  • 配管接続部、機器周辺の油にじみ(冷媒漏れのサイン)

  • 腐食、さび、傷

  • 異常音、異常振動

  • 保温材の劣化


3ヶ月に1回以上の実施が必要で、結果は記録として残さなければなりません。



定期点検(一定規模以上/有資格者による実施)

圧縮機の電動機の定格出力が一定以上の機器は、専門知識を持つ有資格者による漏えい検査が別途必要です。

機器区分・出力

点検頻度

エアコンディショナー区分:7.5kW以上50kW未満

3年に1回以上

エアコンディショナー区分:50kW以上

1年に1回以上

冷凍冷蔵機器区分:7.5kW以上

1年に1回以上

ここで注意が必要なのは、チラーがどちらの区分に該当するかは、用途や機器の仕様によって判断が分かれる場合があることです。空調用の冷水製造を目的とするチラーは「エアコンディショナー」として扱われる例が多い一方、プロセス冷却用のチラーを「冷凍冷蔵機器」として案内しているメーカーもあります。自社機の区分と圧縮機出力は、銘板とメーカー提供資料で必ず確認してください。区分の判断に迷う場合は、メーカーまたは点検業者に照会するのが確実です。

定期点検は、第一種・第二種冷媒フロン類取扱技術者をはじめとする所定の知見を有する者が、発泡液や漏えい検知器を用いる「直接法」、運転値の異常を確認する「間接法」のいずれか、または両方で実施します。


記録簿の作成・保存義務

点検・整備・冷媒の充填および回収の履歴は、点検整備記録簿として機器ごとに記録し、機器を廃棄した後も3年間保存する必要があります。監督官庁の立入検査で最初に確認されるのがこの記録簿です。


罰則

義務を怠った場合には、次のような措置・罰則が定められています。

  • 点検・記録などの判断基準に著しく違反 → 勧告・公表を経て命令、命令違反で50万円以下の罰金

  • フロン類をみだりに大気へ放出 → 1年以下の懲役または50万円以下の罰金

  • 算定漏えい量(年間1,000t-CO2以上)の報告義務違反 → 過料

さらに2020年4月施行の改正では廃棄時の規制が強化され、フロン類の回収が証明できない機器は、廃棄業者に引き取ってもらえません。チラーを更新・廃棄する際は、引取証明書の管理まで含めた段取りが必要です。


自社でできるチラーの日常点検チェックリスト

法定の簡易点検は3ヶ月に1回ですが、突発停止を防ぐには、より短いサイクルでの記録が有効です。


日次(始業時)

  •  設定温度と実際の送水温度の差

  •  チラー入口水温/出口水温(水温差を記録)

  •  タンク水位、補給水の状況

  •  異常音・異常振動の有無

  •  エラー表示・警報履歴の確認


週次

  •  運転圧力(高圧側・低圧側)の記録

  •  圧縮機の運転電流値

  •  循環ポンプの吐出圧力

  •  凝縮器フィンの汚れ(空冷式)

  •  機器周辺の水漏れ、油にじみ


月次

  •  ストレーナの分解清掃

  •  凝縮器フィンの清掃(エアブロー・専用洗浄)

  •  循環水の水質確認(電気伝導率・pH・濁り)

  •  室外機周辺の障害物撤去、通風確保

  •  防振ゴム・配管支持の劣化確認


記録は「数値のトレンド」で残す

チェックリストで最も重要なのは、○×ではなく数値を残すことです。水温差、運転圧力、運転電流の3つを時系列で並べれば、能力低下は必ず数値の変化として先に現れます。「先月より高圧が0.2MPa上がっている」と気づけた時点で対処すれば、生産を止めずに済みます。



専門業者による定期メンテナンスの内容

年1回程度、専門業者が実施する定期メンテナンスでは、日常点検では踏み込めない領域を扱います。


冷凍サイクル系

  • 冷媒漏えい検査(直接法・間接法)

  • 冷媒量・過熱度・過冷却度の確認

  • 膨張弁、電磁弁の作動確認

  • 圧縮機の運転電流、絶縁抵抗測定


熱交換器の洗浄

  • 空冷凝縮器フィンの高圧洗浄・薬品洗浄

  • 水冷凝縮器チューブのブラッシング、ケミカル洗浄

  • プレート式熱交換器の分解洗浄または循環洗浄


電気・制御系

  • 端子の増し締め、接点の焼損確認

  • 各種センサの精度確認

  • 安全装置(高低圧圧力スイッチ、フロースイッチ、凍結防止サーモ)の作動試験


水系統

  • 循環ポンプのメカニカルシール、インペラ点検

  • ストレーナ、配管、バルブの点検

  • 水質分析と水処理の見直し


書類

  • 点検整備記録簿の作成、保管支援

  • 次年度の更新・改善提案


なかでも熱交換器の洗浄は、費用対効果が最も高いメンテナンスです。汚れた凝縮器を洗浄するだけで消費電力が下がり、高圧カットによる停止リスクも解消されるケースが多くあります。


当サイトでの施工実績をご紹介

修理・メンテナンスの状況

飲食料業のお客様工場にてご使用されているチラーについて、既設品の撤去、新規品の据付工事、およびチラー更新に伴う配管工事を実施した事例をご紹介いたします。こちらのお客様ではチラーを20年間ずっとご使用されていたことから、経年劣化によるトラブルが頻発しておりました。それにあたり、宮城 工場修理・メンテナンス.comを運営する丸繁(株)は機械工具商社であり設備機器の調達を得意としていることから、このたび新規チラーの購入のご相談をいただき、それにあたり工事も一緒に行うことになりました。




チラーの更新・修理はお任せください!

丸繁株式会社では、宮城県全域を対象に、工場設備の修理・オーバーホールから電気配線、配管工事、機器据付、各種定期点検までをワンストップで対応しています。チラーについても、現地調査で原因を特定したうえで、修理・洗浄・部品交換・更新工事まで一貫してご提案が可能です。

「設定温度まで冷えない」「夏場になると止まる」「フロン排出抑制法の点検ができていない」といったお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

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